矢車通り~オリジナル小説~

はてなダイアリーから移行させました。

2003-01-01から1年間の記事一覧

ももいろうさぎ

ももいろうさぎが空中を飛んでいた。うさぎは思った。 なぜ俺はこんな理不尽なめにあうのだ。 俺は目が回る。下では俺を悪ガキが放り上げ、笑いながら騒いでる。 そうだ! 俺はぬいぐるみだ!身分をわきまえよう。

さんぽ

さんぽにいったら蛙がいたよ。お宮の池で、「グウ・・・・」っと泣いた。一声だけでやめてしまった。恥ずかしいのかな・・・。それともおかしなやつが来たと警戒したのかな・・。大きな帽子をかぶってやってきたから無理もないか?菱がたくさん浮いていた・…

メランコリー

彼岸花は赤い。赤いはポスト。秋の山。もみじも赤い。ああ! やきいもの季節!! おならが臭う。 さんまはうまい・・・コスモスが咲いている。山口百恵の歌を思い出す・・・。あ・・青春は遠くなった。。もうすぐ冬。。雪が降り出す前にお迎えが来た母・・・。…

さんまのあじ

秋になった・・。山は黄色や赤く色づいた。里のわらべは赤く栗拾い。大人たちは稲刈りだ。わら屋根のうえにむらさきのけむりが立ちのぼりいいにおいがしている。 さんまを焼くにおいだ。じゅーじゅーじゅーじゅー・・・・・油がたれる。 じいさんやばあさん…

馬鹿なサルのひとりごと

山の上にはさるがいた。さるは思った。 俺はボスになる。でもボスの道は遠い。あいつがいるからだ。もう長いこと君臨する、大ボスだ。やつがいる限り、俺は日の目は見られない。いずれやつと決着をつけないといけない。でも俺は、メスにモテた試しはない。ど…

五月の風

こいのぼりは大きい口をあけて腹いっぱいに風を食べている。小鳥たちがこいのぼりに話しかけている。すると猫がやってきて上を見上げて思った。「こいのぼりは食べられないけど、小鳥は腹のたしになるなー。」すると、それを雲の上から見ていた神様が猫に向…

ギブアンドテイク(後編)20枚

作戦を話し終えたとき、町子だけが首を横に振った。 「それはいくらなんでもやりすぎではありませんか?」 女性社員たちはハッと息を呑んだ。作戦を聞いて盛り上がる女性社員のただ中で、こんなセリフを言い出せるなんて。弘子はかなり町子を見直した。 町子…

ギブアンドテイク(前編)15枚

御歳蓋弘子は右手のマイクを口元に近づけた。丹前の袂がゆらゆらと揺れた。浴衣が袖口からのぞく左手でそれを押さえながら顔を左に向けた。宴会場の上座中央であぐらをかいている内水ユリカを見た。 毛先はばらばらなのにまとまった印象のある短い髪形。 し…

紙おむつ狂騒(後編)14枚

弘子と小坂井は五階建てのビルの前に立った。二階より上の窓ガラスは鏡になっているようで、まわりのオフィス街の景色を映している。一階は素通しで中の様子がよく見える。一階のほとんどがロビーのようだ。玄関にあたる自動ドアの横には『タマゴ製紙』と銘…

紙おむつ狂騒(前編)17枚

ひとりを慎む。 そんな言葉は二十六歳になったときゴミ箱に叩き込んだ。 全裸の弘子はドアの向こうのテレビ画面にある時計の表示を見た。生焼けのトーストをかじっては胃にアイスコーヒーで流し込み、五口で食べ終える。コップとお皿を載せたトレイを、左手…

続・肝試し(3)39枚

「我らに何をさせる気じゃ」 時光が憮然とした表情で聞いた。 「なあに、それほど難しい芸当は要求はしないよ。私が合図したらいかにも悪役面で、おまささんをあの百姓家の方へ追い掛けておくれ」 「おいおい、そんなことをしたら、我らが立て篭もっている連…

続・肝試し(2)46枚

「おおい。撃つな」 それは二十世紀後半のアメリカ英語に聞こえた。 「はて、どうしてこんな所にヤンキーが現れるんだい」 メリーはそう呟いてその二人を眺めた。二人は同じモスブリーンの繋ぎを着ていた。だが体躯は正反対であった。ちょうどバットとビヤダ…

続・肝試し(1)47枚

相変わらず宇宙船は地球の周囲を回って居た。 その中では、例のとぼけた三人の宇宙学生が、今度はどの時代でいたずらをしようかと、相談をしていた。 「おい、あの爺さんをからかってから大分経つな。 退屈になってきた。そろそろ次の目標を決めようじゃあないか…