矢車通り~オリジナル小説~

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2009-12-01から1ヶ月間の記事一覧

無題

年の暮れ おもうは残りの 日日かな 今一度 会いたい友や 江戸の町

残り柿

冬枯れの野にポツンと立つ柿の木 その枝に一つ残った熟れた実 小鳥のために残すというが、そおいう易しさ今はない ああ 田んぼの中の鷺、木枯らしを浴びつつ、笠地蔵の頃を懐かしむ

聖夜の宴

神様 何ゆえ私をお選びになったのでございます。 まだ愛の喜びを知らぬ処女に陣痛の痛みだけ味合わせるなんてひどい。 嘘をつけ。いくら全能の神でも、精子が膣を越えて子宮に入らんと懐妊はさせられんわい。 マリア、何処で誰と悪戯をした。 きりきり白状に…

月の砂漠

漆黒の空に青い地球がぽっかり浮かんでいる。 夢にしてはリアルすぎる。 空気がないのに生きている。 背広を脱いで肩にかけ、静かの海をトボトボと歩いている。 なぜ俺はこんな所にいる。 向こうからローバーが埃を巻き上げて走ってくる。 おーいと俺は手を…

乱れ髪

貞子さん 貴女は何時まで井戸の中に居て、時々テレビの画面からはい出して、人を呪い殺す気なんです。 いい加減に諦めて、成仏したらどう。 「余計なお世話だよ。あたしが成仏しちまったら三文作家の木乃伊が出来る。それに映画会社が困るだろ。これでも随分…

女の港

霧に咽んで霧笛を聞けば、あの人待ってる私は馬鹿ね 今に今にと六百光年 今じゃすっかり錆付くガントリイー 船は何処ぞで沈んだか ガミラス軍の攻撃受けて ヤマトに乗り込むセーラーマン 彼の姿が宇宙「そら」に浮かぶ 幻見るよじゃ永くはないな 松本零士氏…