矢車通り~オリジナル小説~

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2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧

稲妻お雪 四の壱

それから二日後、お雪の姿が駿府城の城門に現われた。 お雪は門を警備している小者に声をかけた。 「おい、おっさん。家康に会いたいんだけど案内してよ」 聞いた小者の怒るまいことか。六尺棒を振り上げお雪に殴りかかった。 「随分乱暴な所だねえ。三河と…

稲妻お雪 参の四

「越後の乱波が何用あって家康の所へ参る。我らは徳川に遺恨ある者、容易にここを通すと思うてか」 「それそれ、そこが相談のし所ともうすもの。貴公等の事情を分かりなが、危うい橋を渡って来たのじゃ。土産を用意せんで何とする」 そういいながら三太夫は…