矢車通り~オリジナル小説~

はてなダイアリーから移行させました。

稲妻お雪 壱の四

善介は驚いて叫んだ。 「まった。旦那は気が短くていけないよ。それでよく乱波が務まるねえ。分かったよ。首が飛ぶのは嫌だから、この娘は預かるよ。その代わりこっちにも条件がある」 江戸時代の主従ではない。利害が合わなければ、何時でもはいさよならで…

稲妻お雪 壱の参

善介はお雪の身体を布で拭いてやりながらいった。 「御家老様だって本当の事をいうとはかぎるまい」 三太夫はこれを聞いて、煙に噎せた 「おいおい、貴様は何故そう頑固なんだ。小野小町確かに色々な書物にあるのは確かだ。小埜家とうのも古代から続く名門だ…

稲妻お雪 壱の弐

お雪を家へ連れ帰り、小者に言いつけて、身体に巻き付けていたぼろ布をはぎ、頭から湯を浴びせた。まるでいもを洗うような扱いであった。 「案外上玉かも知れませんぞ」と、小者が糸瓜でごしごしお雪を洗いながら言った。 なる程、垢の固まりのようお雪の身…

稲妻お雪 壱の壱

応仁の乱からが戦国とすると、もう随分経っている。 信長は本願寺に手を焼いて、鉄張りの軍船を建造していると風の便りに聞こえて来る。 遠く離れた越後では、上杉の殿が管領職に責任を感じて、武田の入道と、川中島で小競り合いを繰り返している。 そんな時…

公徳心

こんな言葉を使うのはもう古い人間でごさんしょうかねえ。 でもスカイツリーの根元を拝見して、ふっとこの言葉が頭を過ったんでござんす。 いくら世界一を自慢したって人間があれじゃあねえ。 立ち小便は夜店を冷やかす時の隠語だけにしてもらいてえや。

シニカルな奴

人間は善か悪か。 あんたどう思う。 俺は断然悪だと思う。何故かって。 それは金を発明して格差をつくったから。 馬鹿らしい。そんな事何千年も前からいろんな哲学がいってるよ。 それより許せんのは神の名のもとに、平気で兵器を使い殺し合いを続けている事…

大人の玩具

刀剣・絵画・仏像・書・焼物・木目込み人形・ブロンズの裸婦・印籠・駕籠槍・馬上筒・ラジコン・ランボーナイフ・アイパット・ディスクトップPC・デジカメ。 以上が私の玩具です。 弟にはガラクタと斬って捨てられました。 えっ、何か忘れてないかって。は…

出来ちゃった

大変だ。お母さんに出来ちゃった。 それは深刻な問題ですな。で、どうするの。 どうするって。今更どうしょうもないでしょ。 それでいいの。 いいのって、あなた何が出来たと思っているの。 モチッ、赤ちゃんでしょ。 パーカッ、そんな事になったらあたいが…

コーヒー

私はコーヒーが好きだ。 通と言うほどではないが、一日飲まないとものたりない。 昔アラブのえらいお坊さんが、という森山加代子の歌を思い出す。 やっぱり歳を感じて、ほろ苦い思いだ。 喫茶店で飲むのと、散歩の途中で自販機で買うのはえらい違いだ。 やっ…

オタク

お宅はオタクですか。 はい、オタクです。 なんのオタクですか。 ウーン、難しいですね。強いて言えば生きて食べてクソをひり、女の裸を見オタクでしょう。 なる程、それでは人は皆オタクですね。

鉄の女

目の前にヌードの女がいる。 クッションの上に正座し、ネックレスを着けている。 つやつやとした肌、形の良い乳房。 でも彼女は黙った儘だ。 上の飾り棚から仏像たちが、見下ろしてほほえんでいる。 嗚呼、ブロンズの彼女は歓喜仏に抱かれ、陶酔の極みに達し…

朱鷺の歌

日本人って勝手だね。 先ににいた仲間を滅ぼしておいて、今度は私たち中国生まれを呼びよせて、すきでもない相手とつるませて、卵が産まれりゃテレビカメラで覗いては、マスコミと一緒に騒いでる。 それなら最初からもっと自然を大事にしたらどうなのさ

五月雨女 

彼方待つのになかなか来ない。 傘が緑に染まっても、愛する人は姿を見せぬ。 ああ、からだが燃える。 雨が木の葉にあたる音。 いくら濡れてもこのねつ(情熱)を冷やしてくれる筈がない。 恋の風邪にかかってしまった。 てへっ、又つまらぬものをつくってしま…

竜巻

怖いーっ。 姪っ子の家がもう少しで吹きとばされ、あわやホームレス。 オズの魔法使いのドロシーは虹の彼方に行けたけど、現実はキビシーッ。 何だか地球がおかしいいよ。 神の怒りか、仏の罰か。 いや、ガイヤ理論の人間退治。 百億の人口は地球にとって負…

嗚呼、蜻蛉の目玉

やっとヤゴから蜻蛉になって、大空を飛べると思ったらお邪魔虫が現れた。 羽化しようと陸に上がったら河童のカップルがヨロシクやってたよ。 あんなもんは見るよりやるもんでえ。 しかし河童のあれはしつこいねえ。 この分じゃあ何時になたら羽化して、空を…

愛の惨劇

貴方の叩いたほっぺが痛い。 始めはあんなに優しかった。 でも釣った魚に餌は要らない、なんて酷いじゃないの。 見てらっしゃい。仕返しは酷いから。 宇宙服に穴をあけてやる。 風船のように膨らんで最後はパチン。 肉片が漆黒の空間に漂う事になるからね。 …

この未知

この未知は何時か行く未知。 闇の中か、それとも光が充ち、河が流れ向こう岸で誰か呼んでいるのか。 全身麻酔の経験から言うと、臨死体験は信用できない。 信じる者は救われるのか。 何れその時が来れば分かる事。 未知に希望を持って良いならば、嬉しいがな…

悲しい墓

一人墓場で飲む生き血、あたしゃ女のドラキュラだ。 バイオハザード起っても、何時まで続くゾンビの戦。 今度はキョンシ―相手かな。 古い奴とお思いでござんしょうが、あたしの名は緋牡丹のお龍と申します。 義理欠く・恥かく・人情欠くの東映に長らく草鞋を…

怖いもの

近頃巷で怖いもの。検察審査会、AKB48、バスジャック、小沢さん、消費税、福岡のヤッチャン、維新の会、ユルキャラ、テンカン、原発、あかちゃんポスト、弁護士、人の目、悪女の深情け、甘い言葉、自暴自棄、痴漢、孤独死。きりがなあい。

お化けの嘆き

そろそろおいらの季節が近づいた、と思って出る支度を始めたらヤバイっ。 アメリカの友達、フレディやジェイソンが教えてくれた。 お化けより怖いものが沢山出て、倭名撫子の貞子をもってしても人間は怖がらないそうだ。 嫌なご時世でござんす

月の雫

初夏の夜、男は女を誘って蛍見物としゃれ込んだ。 そぞろ歩いている足下には緑の炎が、燃えるように蛍が輝いている。 月の光が負けそうだ。 ラブコールは蛍の方が素晴らしい、と思う。 でももし人間が蛍のように光ったらどうだ。薄気味悪いだろうな。 B級の…

スカイツリー

現代のバベルの塔と軽蔑しながら、それでも登って見たい。 この自己矛盾は何でだ。 只のバカなのか。 それとも僅かながらも人間の英知に期待を残しているからか。 また東宝のオッチョコチョイが、モスラに眉をかけさせはしないだろうな。 また余計な心配をす…

黄砂の来るころ

空が黄色くにごってる。 黄河の上流の高原から舞い上がった塵、それが遥遥やって来る。 招かれざる客だ。 だけど この頃ゴールデンウィークなるものが待ち受けている。 金が飛ぶように懐から消えて行く。 だからゴールデンウィークなのかな。 鯉のぼりが黄砂…

花の園

我思う。故に花あり。 然れども他の人花と思わず。 パスカル先生。女とは哲理煮ては解明不能と思えり。 嗚呼、花の園とは何故かように不可思議なりや。

オタクの歌

オタク・オタクと言われても骨董集めは止められぬ。 何故なりやと問われれば、いろいろ事情は有るけれど、我にとりてはマスと同意語なりき。 救われないなあ。クシュン。

河童

我々は架空の生き物とされておる。 芥川もおそらくは実在するは思っていなかったろう。 だが本当にいるのだ。 もちろん人間の目では見えない。 だからこそ今まで絶滅せずに生き残っている。 でなければとっくに捕まって両国の見世物や、日中友好の道具に使わ…

花を摘む

ハイキングに行きました。 イケメンの彼と。 春の爽やかな風に頬をなでさすと、とっも幸せです。 麓から登って行くと、道の両側にお花畑が広がり、とっても綺麗です。 ああ、何という事でしょう。 その時悪魔がお腹の中で不気味な笑い声をあげたのです。 グ…

猫3

よお、久しぶり。吾輩が出てくると、人間の棚卸と決まってる。 果たして人間という生き物は地球の上で、呼吸する資格があるのか。 甚だ疑わしい。吾輩の私見ではどう贔屓目に見てもまともとは思えない。 徒に雌、ファッションとか称して、余計な装飾で飾り立…

あなたにあげる

嫌よ嫌々、子供じゃないわ お金を幾ら払えばいいの パジェロがそんなに欲しいなら自分で稼いでお買いなさい あたしの身体じゃ足りないの 乗って気持ちが良いのなら幾ら乗っても構わない 困ったもんね 男とは ええ、お互い様というでしょう でもね 女は受け身…

バトルシップ

なんだかクジラのお化けみたいなエイリアン。 ユニバーサルのセンスを疑うよ。 アバターみたいなロマンが無いねえ。 日本を巻き込んで海戦なんてよしてくれ。 あっ、いけねえ。ホントに北を相手にもう始まっているか。 やっぱりアメ公の子分だねえ。日本は。