矢車通り~オリジナル小説~

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宝塚見物

 宝塚の舞台を生で観たことがなかった。「ベルサイユのばら」や「JFK」を舞台中継で観たことがあるだけだ。
 今まで行かなかったのには、2つの理由がある。
 1つは「チケットが取りにくい」と噂されていたこと。
 1つは「独特の芝居様式が確立しているので、馴染めない人にはまったく馴染めない」と噂されていたこと。
 とはいえ、噂は噂で真偽のほどはわからないのだが、観劇は直後に感想を言い合うのが楽しいと思っているので、相手が居ないとやる気が出ない。行こうと思いつつ、ずっと放置していた。
 最近、友達のOさんとよく芝居を観に行くようになり、Oさんから「一度宝塚を観てみたい」と話が出た。そのときは「じゃあ機会があれば」と話が終わったのだが。
 6月の末ごろ、関口宏の「フレンドパーク」に星組の男役の方2人と娘役の方1人が出ていた。素で出ているはずなのに、何かというと男らしく振る舞ってしまう男役のお二方。おっとりした部分を茶目っ気でカバーする娘役の方に心惹かれた。ぜひ、舞台を観たい。
 検索してみたところ、8月14日から9月13日の日程で東京公演の予定があった。一般発売は7月12日からとのこと。チケットが買えるかどうかわからないが、Oさんに連絡を入れるとチケットが取れた日に行くと快諾してくれた。
 チケットぴあで先行発売があり、申し込んだが抽選に漏れた。やはりチケットを取るのは難しいのかとOさんに話したところ、7月12日は2人でぴあにアクセスしまくることになった。
 当日10時を待ってアクセスしたところ繋がらない。よほど集中しているのか、何度やっても繋がらない。40分程経って、出かける時間になってしまったので、その後は携帯電話からアクセスした。何回かチャレンジしたら、ついに繋がったが、何日の何時なら空席があるのか、さっぱりわからない。一番都合の良い日付をクリックしたらB席だけが多少あったので、即座に押さえた。Oさんにチケット取った旨メールすると、Oさんのほうは全然繋がらなかった、取れて良かったと返信が来た。
 確かに取りにくいけれど、B席ならば取れないことはない。

 そして昨日、宝塚劇場に出向いた。
宝塚歌劇団星組 東京宝塚劇場公演『太王四神記 Ver.II』−新たなる王の旅立ち−」を観るためだ。
 劇場の入口がどこだかわからない。ウロウロしていたら、映画館の入口だと思っていたところが劇場の入口だった。どうやら、同じ建物らしい。チケットをもぎってもらい、2階席ですので上へどうぞと案内されるまま、階段を上がった。そこは中2階のラウンジで飲食できるスペースとなっている。エスカレーターの前に2階席と案内が出ていたので、上がっていくと、またスペースだけだ。またエスカレーターに乗り、計4階分上がって、ようやく2階ロビーに出た。舞台からかなり遠いんだろうけれど、こちらは一度観てみることが目的なので、正面真ん中より全体が見渡せたほうがいい。パンフレットを買って中身を読んだら、話の筋は最後まできちんと書いてある。「ストーリーを楽しむものではないんだね」とOさんとしゃべりながら席に着く。椅子は縦方向に傾斜がきつくしてあり、横方向に少しずらしてあるので、前が見やすい。舞台の前にはオーケストラのブースがある。生演奏だ。主役の声で開演のお知らせが入る。
 開幕。
 セリと回り舞台を駆使した大道具の入れ換えで、ノンストップで場面転換が続く。芝居部分はほとんど無く、歌で登場人物の心情が綴られる。ダンスで表される戦闘シーン。女性が理想と思い描くような男性像。類型的なシーン。
 分かりやすく華やかな夢の世界。
 歌とダンスのレベルが高くて、見ごたえのある舞台だった。
 追い掛けようとは思わないけれど、年に1度くらいは観に来て夢の世界に浸るのもいい。今度は舞台真ん前のSS席で観たいね。とOさんと語りながら劇場をあとにした。
 華やかな舞台を観るのが好きならば、宝塚もそれなりに楽しい。

 また行きたいものだ。
 出来れば星組のトップが替わらないうちに。
 でも、SS席って、こんなに熱意のない客が買える席なのだろうか。