矢車通り~オリジナル小説~

はてなダイアリーから移行させました。

月の雫

初夏の夜、男は女を誘って蛍見物としゃれ込んだ。
 そぞろ歩いている足下には緑の炎が、燃えるように蛍が輝いている。
 月の光が負けそうだ。
 ラブコールは蛍の方が素晴らしい、と思う。
 でももし人間が蛍のように光ったらどうだ。薄気味悪いだろうな。
 B級のホラー映画だ。
 あっ、思ったとうり男が女を草むらに引き入れて、恒例の行事が始まった。
 女が手近な草の葉をちぎって月の雫を拭っている。
 わりあい淡白な連中だ。
   
 覗き男の一人言。