矢車通り~オリジナル小説~

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遣唐使の園

庭に色とりどりの牡丹が咲き乱れ、真っ青な空に極楽鳥が舞う

僧達は柳の下で一時のまどろみを楽しむ。
だがその中の一人だけは懐紙に筆を走らせる。
共の僧はそれを横目で睨む。

『あいつは俺らがこうして怠けているのを腹の中で笑っているのか』

経文を丸覚えして母国に帰れば官位を約束されている。

そのため上司に対する贈り物を買い集めている者もいる。

まあいずれにしても母国の役人どもには経文の意味など分かりはすまい。

また厳しい風が柳の枝をゆらし、物憂い時が流れる。