矢車通り~オリジナル小説~

はてなダイアリーから移行させました。

2013-01-01から1年間の記事一覧

稲妻お雪 伍の参

「情のこわい女子のよう」 秀吉は曲者の縄尻をとった侭ポカンとそれを見送った。 安土城では信長が額に青筋をたて、怒り狂っていた。 「ええい。どこの乱波かは知らぬが鋸引きじゃ。お市を狙うとは許せん」 それを窘めるのはオリンであった。ここで処刑する…

稲妻お雪 伍の弐

「何者っ」 オリンは叫ぶと屋の飛んできた方角へ脱兎のように走り出した。 オリンは雑踏をかき分け敵を追った。安土まで潜入してお市を狙うとは何者か。いづれにしても乱波であろう。そんな事を頭の隅で思いながら、オリンの隼のように鋭い目は敵を見逃せな…

何の詐欺かと思いましたよ

「最近あった良いこと」はてなダイアリーはじめてガイド - ブログを書いてポイントを貯める今日、はてなからメールが届いて「ブログを書いたから10ポイントプレゼントします」って言うんです。 ほら、よくあるでしょう? 「あなたは○○に当選しました! こ…

稲妻お雪 伍の壱

ここは安土。まだあの壮麗な天守こそないが、この当時としてはなかなか見事な城郭がそびえている。 信長の寵愛しているオリンという女侍が、いましも市の雑踏を警戒しながら歩いて行く。その前を絶世の佳人がしずしずと歩を進める。 信長の妹お市であった。 …

稲妻お雪 四の伍

この頃の大名には釜を掘るのは当たり前の習性であった。織田信長こそ不名誉の代表格ではあった。 「おいおい、われらはさような怪しい仲ではない。松平の家では御法度になっておるわ。それにこの大久保には見目良い妻女がおる」 家康はあわてて手を振り、お…

稲妻お雪 四の四

「よしておくれよ。あたいのお頭を買い被るのは。そこらに転がっている蜂の頭なんだからさ」 「はははっ、蜂の頭とは、ちと言い過ぎではないか。余の頭痛の種を取り除いてくれたなかなかの頭ではないか」 家康はお雪の顔を覗き込んでいった。どうも其処らの…