矢車通り~オリジナル小説~

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2010-12-01から1ヶ月間の記事一覧

愛の鞭

北風がいった 「俺が吹くのは人間に対する愛の鞭だ」 太陽がいった 「そうかね でも人間はちっとも利口にならないね それより私のぬくもりの方が効果があるよ」 それを聞いた北風はむきになってビュウビュウ吹いた でもやっぱり人間は利口にならなかった しか…

此処は何処だ

辺りを見ても全く覚えがない 荒涼とした光景が何処までも続く 夢の中だろうか? それにしては妙にリアルだ 灰色の地面に大きな岩がゴロゴロと転がっている 地平線までその景色は変わらない 空は漆黒で無数の星がくっきりと輝く スーツ(宇宙服)を脱いだら忽ち…

人生は宇宙の窓

何故俺は生まれる以前の記憶がないのか 死んだ後が分からないのか 死後の世界をとく宗教を信じられない 恐らく生まれる前と同じく無だろう では宇宙とは何なのだろう 人生という窓は何の意味があるのだ

可憐な乙女

最近こんな言葉の当て嵌まる女は絶滅した と思い悲観していたのだが、それは私の偏見だった 週に一度、こんなエロオヤジを風呂に入れてくれるヘルパーさん 19歳だそうだが、懸命にやってくれるのだ 仕事と片付けられない何かがある 男の性で見てはいけない…

エイリアンの嘆き

地球へ来て落胆したよ テクノロジーは相当なものだが、やっている政治は五千年前に尋ねた時とちっとも進歩してない 反体制への弾圧はエスカレートしている とくに中国の政府の自信の無さは目に余る 人口が増え、経済は発展して、日本を追い抜いたのに、やっ…

サンタの愚痴

今年もわしの季節がやって来たのう そろそろ準備をはじめなくてはな でもな わしは仕事が嫌になってきたんじゃよ そうじゃろう 子供等はゲームに夢中 わしを信じなくなってしまった 騒いで居るのは商業主義に毒された大人じゃ 引退してラップランドの洞窟に…

となりの宇宙人

へえ、あの可憐な娘(こ)が宇宙人なの アバターに出てくるみたいに青くないよ わざわざこんな地球みたいな辺境にやって来て、ヘルパーをやるとは物好きだねえ しかも唐司郎みたいなエロオヤジの世話をするとは、博愛主義の見本だね 地球の若者に爪の垢を煎…

初冬の煙

山肌に白煙が立ち昇っている 色褪せた紅葉をおくるように 日の光も弱くなった 嗚呼 たそがれた人生 この先幾許のこっているのか 見上げれば木々の枝にかたい蕾が着いている

木枯らしや ダウンとミトンと車椅子 散歩道 コースを悩む 我にあきれ 自販機の 缶コーヒーで暖をとり 落ち葉ふむ 車輪の音が もの寂し