矢車通り~オリジナル小説~

はてなダイアリーから移行させました。

2002-01-16から1日間の記事一覧

束の間の休息

携帯電話のディスプレイには神田春子と出ている。予定通り。それでも通話ボタンを押すのに十秒かかった。 「夕べ、隆正の背広から待ち合わせのメモを見つけたの」春子の声だ。 「紀美代の字だったわ。ホテルの名前」 春子は今なんとか声を絞り出しているのだ…