矢車通り~オリジナル小説~

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馬鹿なサルのひとりごと

山の上にはさるがいた。さるは思った。
俺はボスになる。でもボスの道は遠い。あいつがいるからだ。もう長いこと君臨する、大ボスだ。やつがいる限り、俺は日の目は見られない。いずれやつと決着をつけないといけない。でも俺は、メスにモテた試しはない。どうすればメスの支持を得られるかハムレットの心境だ。人間なら札びらをきって、買収するが、あいにくサルには金という便利で不便なものがない。牙をむいて腕力を振るうまでだ。ところが、俺は、からっきし腕には自信がない。こんな俺がボスの座を狙うのは、高望みなのか。でも、人間は実力もないやつが、金で無知な子民をごまかして先生でございといばっているではないか。この矛盾をどうしてくれる。俺はやっぱりボスになるぞ。どんなきたない手を使ってもな。でなければ、俺がこの世に生まれた意味がない。カントやパスカルに聞いたって、本当のことは教えてくれない。だって、彼らにもわかっちゃいないのさ。
さるがほおづえをついてくだらない妄想にふけっていると急に嵐がやってきて、千尋の谷へ吹き飛ばしてしまった。
 

おしまい。