矢車通り~オリジナル小説~

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五月の風

こいのぼりは大きい口をあけて腹いっぱいに風を食べている。

小鳥たちがこいのぼりに話しかけている。

すると猫がやってきて上を見上げて思った。

「こいのぼりは食べられないけど、小鳥は腹のたしになるなー。」

すると、それを雲の上から見ていた神様が猫に向かって怒鳴った。

「こら! いくら腹が減ったとしても、そんなばかなことを言うもんじゃない。食べ物なら、そこらのごみばこをあされ! それが、平和共存というものだ。」

すると、猫は神様に向かって言った。

「何が平和共存だ。俺たちは、命がけで生きているんだ。そんなに平和がよければ、この世の中に本当の平等を創ってみろ。」
そう言われると、神様は一言もなかった。

「・・・春には、みんな同じように眠っているのに、夏になれば、みんなの間に欲が出て争いを始めて困ったもんだ・・・。・・・平和共存というものは本当に難しいもんなんだなー・・・。」
神様が白い雲の布団の上で寝転びながら、愚痴をこぼして言った。