矢車通り~オリジナル小説~

はてなダイアリーから移行させました。

2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧

遠い星

永遠に着かない星に飛ぶ船を火の鳥だけは見守り逝く その星は大気はメタン住人は(ひと)守銭奴 青い星着来て落胆名前はテラ(地球) ジュラ期には威厳にみちた主たち滅びて今は哀しき星なり

毬藻の唄

水底にひっそり沈みし毬藻よ憐れ 誰も見ず 独り孤独な夢を見る 永久に星を知ることもなく 音痴の鮒の詩吟を聞いて 恰もそれが天使のソネットと思っている 嗚呼 毬藻は不幸なの それとも幸せなの

林檎

赤い林檎は大嫌い 青い林檎も大嫌い 月の夜半に公園で火照った身体を覚ましてたらそんな言葉が脳裏を過る 今夜の客は醜男ばかり 商売だから仕方がないがなんで値に寄って来る ピエロの方がまだ増しだ 含んだ林檎を吐き吐き思う

俗人

花を見ても天麩羅しか想像しない奴がいる 俗人と云う 俺もその一人だ 太宰は月見草が似合うと云った 気障な野郎だ 俺は富士山を見ると何故かトンカツと合鴨が頭を過る まあそれが俗人の特権だろう

顔は嫌いだ 自分の顔を見ると嫌悪を感じる エレベーターの鏡に映る顔 どうゆう訳か 分からない 答えはどれだ 不条理だ 朝起きてみると虫になった男が羨ましい 虫は自分の顔を意識しない 意識 そうだ 顔こそ意識の源だ テロ・暗殺・貧困・自殺・殺人 極め付き…

無題

素麺を啜りつつコロンボを見る 六十路の坂を切実に感ず 時代劇 女優の顔に我の歳重ねる 精神年齢 十五と云われ複雑な気持ち 好奇心だけ旺盛なれば浪費家と云われ 苦笑するより仕方無し 愚痴多くなれば我の刀で両断したき心

続 注意人物

プレデターは、その醜い顔を益々歪めて俺を見ている。 俺はニヤリとほくそ笑んだ。 船の窓から青い地球がゆっくり廻っている。 胸糞が悪い。 地球に比べれば、人はヴィールスだ。 増えすぎ環境を汚し、貧困を増やし、格差を贈位させている。 こんな地球は破…

注意人物

そいつは俺とそっくりだった。 電柱にウオンテッドのポスターが貼ってある。 しかし罪状が書いてない。 いったい何を仕出かしたんだ。 俺に似てるからには相当の悪だろう。 後ろに殺気を感じた瞬間、背に焼け火箸を突っ込まれ、意識を失った。 気が付いたら…

芝生に雀が来ています。 虫を突いています。 二羽で夢中になってます。 夫婦、それとも兄妹。 可愛いです。 あっ、また一羽来ました そうか。 初めの二羽がのび太としずかちゃん。 後から来たのがジャイアンか。 仲良くね。

小人間居して善行をなす

男は雑踏の中をナイフを隠し持って歩く。 どいつでもいい。殺ってやる。 俺を人として認めない社会に復讐するためだ。 しかし殺となるとてきとうな奴がいない。 老人は早く極楽へ送ってやるだけだ。 若者は、あんな軽薄な奴らを作った俺達団塊を閻魔が、腹を…

三猿の事

どこかの山に猿の兄弟がいました。 上の兄貴は欲張りでした。 中の弟は乱暴でした。 末っ子は阿呆でした。 良いところのない猿でした。 それでも神様は哀れんで、どこかの救われない国の教訓にと、お宮へ送りこみました。 しかし教訓になるどころか。その国…

浜の奇人

中華街はけばけばし色の洪水。 怪しげな訛りの呼び込み。 葫の匂い 関羽がいた。 商売の神様。 不景気な時代にさぞ迷惑なこったろう。 そうゆう俺も一人連れて戻った。 又どっかへ旅がしたい。 それには金だ。 人間なんて勝手なもんだ。 不信心な俺が異国の…